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声調記号通りに発音してもネイティブっぽくならないのはなぜか?

 声調言語と言われる中国語ですから、通じる中国語を話すためには、まず声調を正確にコントロールすることが重要です。

 

 入門初級のころは、その認識で発音トレーニングを進めた方が良いのですが、もう少し中国語を読みなれる、聴きなれてくる時期に気が付くことがあります。

 

 それは、「声調記号通りに読んでいるのに、自分の発音はネイティブの音源と何かが違う。」ということです。

 

 その一つの原因として挙げられるのが、「同じ声調が連続する時に後の声調が若干軽く読まれる」現象があると思います。

 

 私の音読レッスンで頻繁に話題になるのが、4声が連続する時の声調バランスです。

 

 例えば「这是」「这部」「愿意」などの言葉は、大抵4声×4声の表記がついていますが、ネイティブの発音を聴くと、2つ目の4声は1つ目よりも軽く読まれているように聴こえます。

 

 入門レベルの発音レッスンでは、4声を単独で発音する時の説明として「飛び込み台からプールに一気に飛び込むように」とか「カラスのカー(鳴き声)のように」とか「1オクターブ上のドから下のドに下がるように」など、とにかく高低のメリハリをつけることを強調するのですが、4声が連続する時に限って言えば、2つ目以降の4声のトップは単独の4声ほど高い音ではないようです。

 

 私の教室の音読レッスンでは、発音(ピンインと声調)にフォーカスしてトレーニングをするのですが、受講者の皆さんは一つ一つの漢字、言葉の発音だけではなく、文章全体を「より流暢に」「よりネイティブ感のある」発音で読むことを目指しています。

 

 このレベルになってくると「声調通りに読む」だけではない技術も必要になってきますから、受講者の皆さんを見ていて「レッスン」が「セッション」に変化し、「教わる」というより「観察して、思考して、体現する」ことへと態度が変化している、そういう手ごたえを私は感じています。

 

 初めて中国語を習われる方のレッスンは、私にとっても勿論、刺激的です。その方が新しい言語に出会う瞬間に立ち会えるからです。

 

 そして、中国語とのお付き合いがそれなりに長い方とのレッスンも、私に多くの刺激と学びをもたらしてくれます。まるで仲間と一緒に中国語の奥深さや面白さを探検して共有するような時間を過ごすことができるからです。

 

 話がそれましたが、このブログが皆さんにとって「指定通りに読む」ことと「自然に読む」ことの違いについて改めて考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。