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「u」についての蘊蓄です。

 より中国語的に発音するために、日本語との発音の違いに気が付くことはとても重要だと思います。

 

 このブログを書く前に、筑波大学で言語学の博士号をとられて、現在、関西大学で教鞭をとられている金佳先生の論文を読みました。『中国人日本語学習者における単母音習得の実態』というタイトルです。日本人ではなく中国人の日本語学習者に焦点をあてて日中の発音の違いを紹介しているので、音声学に興味のある方はぜひ、ご一読ください。

 

 この論文の「u」に関する考察を読んだとき、ある方を思い出しました。中国の視察団のガイドを担当した時のこと。受け入れ側のスタッフに中国の方がいらっしゃいました。ミーティングでツアーの食事の内容について話していた時、日本語が上手な彼が「おすし」と「うなぎ」と言う時だけ、その発音が若干不自然に聞こえたのです。その後、私は中国語のトレーナーになり、日本の方に中国語の発音をお教えするようになって、あの時、なぜ彼の「おすし」と「うなぎ」が気になったのか、その理由が分かりました。

 

 音声学の言葉で表現すると、中国語の「u」は円唇、日本語の「う」は非円唇という口の形だそうです。読んで字のごとく、円唇は丸い唇の形、非円唇は唇を丸めない形という意味。中国人の日本語学習者は「う」の発音の時に母語の「u」になりがち。一方で、日本人の中国語学習者は「u」の発音の時に「う」を連想してしまうと、唇を中央に集めて発音することができなくなるようです。これ、日本人も中国人もお互いにネイティブらしい発音をつくるためのポイントですね。

 

 「u」はしっかり唇を丸くして発音しましょう。私は、単母音の初レッスンの時は、「o」は竹輪、「u」はポッキー、と受講者の皆さんにお伝えしています。実際は、竹輪よりはもう少しきゅっとすぼまりますが、分かりやすい例えとして竹輪とポッキーを採用しています。他に何かよい例えがあったら、ぜひ教えて下さい。

 

 「竹輪とポッキーって何のこと?」と疑問に思われた方は、ぜひ、うちの教室の学習カウンセリング「中国語相談室」にお越しください。30分無料です。季節は秋、ゆっくりお茶を飲みながら中国語の発音のお話などしませんか?しつこい勧誘はいたしません。やんわりとスカウトはするかもしれませんが。

 

金佳 『中国人日本語学習者における単母音習得の 実態』

http://www.lingua.tsukuba.ac.jp/ippan/TWPL0/TWPL10_36/2_Jin2017.pdf