「祸不单行」ということわざを覚えたのは、中国語学習二年目の時でした。
発音や文法の学習が一段落すると、先生たちは成语や绕口令を織り交ぜながら、中国語とともに中国の歴史や中国人の思考方法について講義をしてくれました。
入門クラスではほとんど耳にすることのなかった成语は、2年目の授業では読解やスピーチの練習に頻繁に登場するようになっていました。
成语一つ一つの発音も意味も理解し、小テストでは満点はとれるものの、実際の会話の中に取り入れることは難しかったです。
成语は物語ですから、それを覚える作業自体は楽しかったのですが、「役に立たない知識」を詰め込むために毎週、数時間を費やすことに飽きていました。
ある時、ノートに書いた成语の隣に、それに似た日本語のことわざを書いてみました。
例えば、「祸不单行」なら「泣きっ面に鉢」、「弱り目に祟り目」、「一難去ってまた一難」などなど。
日本人も中国人も言葉や風土は違えど、昔の人は同じようなことを考えていたことが分かり、成语に少し親近感がわいてきました。
ある朝、雨風が強く電車が安全運航したため遅刻する羽目に。駅を出て傘をさそうと思うと傘がない、、、。電車に傘を忘れたようです。
まさに祸不单行。
学校の事務室の前を通る時、丁度、中にいた中国人の先生に遅刻と傘をなくしたいきさつを話して、「真是祸不单行!」とすかさず使ってみました。
通じた!この快感!
覚えて、そして、使ってこその成语。先生との会話で使い、その言葉が通じた快感とともに祸不单行は完全に私の記憶に刻まれました。
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