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長文をすらすら訳す方法

 サイマルアカデミーでは通訳者を養成するための様々な訓練を受けました。その中でも、人民日報のコラムを即興で訳す訓練は非常に役に立ちました。(課題のコラムは事前に配布されていたかもしれませんが、予習をさぼった私にとって即興の訓練になってしまったのだと思います。)

 

 その訓練で教わったのがスラッシュリーディングです。現役の通訳者だった先生方の話によると、事前に資料をもらえれば超ラッキーで、通訳現場に到着して始めて通訳にかかわる資料をもらえることは珍しくないそうです。通訳本番まで数十分という限られた時間内に一定の分量の中国語を訳さなければならない、もしくは日本語の文章を中国語に訳さなければならないことは頻繁にあるそうです。

 

 スラッシュリーディングは初見で全文(中国語)のほとんどの意味を把握することができる非常に効率的な読解の技術です。限られた時間で「読みなおし」ができない状況でこのような技術が必要になります。ということは、これはHSKでも大いに役立ちますね。5級、6級と問題数が多くなりますから時間との勝負。読解問題は読み直している時間はありません。

 

 やり方は至極簡単。日本語の意味が分かる単語、フレーズごとにスラッシュ(斜め線)を書き入れいていきます。訓練の初期はスラッシュが多くなります。最初は一単語ごとにスラッシュを入れていたのが、慣れてくるとフレーズごとにスラッシュを入れていきながら意味を理解し、どんどん読み進めていくことができるようになります。

 

 スラッシュを入れながら理解できた単語やフレーズを(日本語で)つぶやき、先へ先へと読み進めますが、その時の日本語訳はきれいな訳文でなくてもいいのです。「私、今日、飲んだ、3杯、コーヒー」のような感じです。

 

 このスラッシュは脳に合図をおくっているようなものです。「ここまで理解できている!」ということを可視化して、自分自身に確認しています。慣れてくると、スラッシュを入れる作業(勢いよく斜め線をシュッと書く)が気持ちよくなっていきます。

 

 先ほども少し触れた通り、このスラッシュリーディングはHSKの読解対策にとても有効ですので、ぜひ、試してみてください。さらに詳細を知りたいという方は、ぜひ、HSK読解&通訳講座にご参加いただければと思います。この講座では、HSK1級から4級までの読解の過去問を教材にして音読(全文すべてを標準的な発音で読む)と通訳(日本語⇔中国語)の練習を徹底的にやります。発音の精度をあげる、会話に必要な瞬発力を養う、この二つの技能の習得を目指す講座です。

 

 ぜひ、HSK対策とともに会話力アップも目指し、効率的で着実中国語力が身につくトレーニングをしてください。