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苦手だったrの発音と歌姫戴娆の思い出

 子音の「r」と言えば「日本/Rì běn」。日本の皆さんには避けて通れない発音ですが、この「r」の発音は、慣れるまでは少し不安定になりがちです。

 

 私も最初は、なかなか自信を持って発音できませんでした。それが、ある時を境に発音が安定したのです。ホリプロが中国でオーディションをして40万人の中から選んだ歌手、ダイヤオ(戴娆/Dài ráo)の日本デビュー時に通訳をさせていただいたことがきっかけでした。確か、94年から95年にかけてのことだったと思います。

 

 彼女は、来日プロモーション中にテレビやラジオの番組にゲストとして出演しました。通訳と言っても、取材の内容は事前にだいたい分かっていましたので、それほど高度な通訳技術は必要ありませんでした。彼女と3歳ちがいの私は、移動中も食事中も彼女のそばにいて、よもやま話をしていました。

 

 1週間弱、1日に何度も「戴娆」と彼女に呼びかけるわけです。もはや「r」が苦手などとは言っていられません。

 

 「r」の発音に迷ったら「l」と舌の位置を比べてみてください。「l」は日本語のら行に似ていますので、舌先が上あごにつきます。「r」は舌先が上あごにはつきません。上あごと舌との間には1~2ミリほどの隙間があるはずです。その隙間をゆるやかな息が通りぬける音が「r」です。

 

 「r」の発音をする時は、今も少し用心深くなります。そして、ダイヤオのことをちょっと思い出します。

 

CDJournal「ダイヤオ 戴娆」

https://artist.cdjournal.com/a/dai-rao/117470/review/