中国ドラマ

 

 中国ドラマを初めて見た人は、衝撃を受けずにはいられないと思います。私の場合、その強さで言えば、エジプトまでわざわざ 見に行ったピラミッドよりも、ある意味中国ドラマの方が衝撃強めでした。

 

 コロナ禍の年末年始はどこにも行けず、それならば、と家族で『三国志』のドラマを見ることにしました。なんと全95話!お正月休み期間では全然足りませんでした。

 

 長さでだけでも驚くのですが、中国ドラマはなんと100億円以上の予算が注ぎ込まれるものもあり、映画と見まがうほど。例えば宮廷が舞台のドラマは、ゴージャスさ、衣装の華麗さは桁違い。次から次へと現れる美男美女俳優にも圧倒されてしまいます。

 

 まさに非現実 の全てが勢揃い。『これぞドラマ!』と圧強めの仕上がりです。気に入ったドラマなら、俳優たちの演技力と脚本の力にグイグイ引き込まれて、気がつけば何十話もあっという間に完走でしょう。

 

 大ヒット現代劇も見たいのですが、どういう訳か日本語字幕付きは時代劇が大多数。結果、どうしても視聴するのは時代劇寄りになってしまいます。何十話も時代劇を見ていて、最近その副作用がジワジワきています。それは、耳に残る中国語。

 

 時代劇では、たびたび皇帝の前で家臣たちが「陛下バンザーイ」とやるのですが、これがリズミカルに「ワンスイ、ワンスイ、ワンワンスイ!(,万万」と大合唱。ついつい一緒に言ってしまいます。

 

 また謁見するときのやりとりの会話も決まっていて、ひざまづく臣下に権力者は「立ちなさい」というのですが、この「起来」は何度も登場。私がドラマで覚えた中国語フレーズ第一号です。謁見を終えたら、次は立ち去る場面。「失礼致します」という臣告退」という言葉。これが何やらカッコいい響き。特にイケメン武将が甲冑に身を包み、キリリとした所作とともに「臣告退」と颯爽と去っていくのはちょっと素敵なシーンです。

 

 

 知らず知らずに覚えた中国語ですが、はっきり言って使い道はありません。「起来」は、日本語では「苦しゅうない、面をあげよ」、「臣告退」は「拙者、失礼つかまつります」という感じですからね。

 

 待ち合わせのカフェに遅れて行ったとき、神妙な顔で「万死(万死に値します)」などと流暢な中国語で言ってみたいです。完全に妄想の世界ですね。