中国語のメロディ

 楽器の演奏を習ったことがありますか? 中国語の学習は音楽のレッスンに似ているような気がします。音と四声が書き込まれた楽譜を正しく演奏しなくてはなりません。音程のズレは楽譜に立ち返ってチェック。楽譜に書かれた通りに演奏しなければ別の曲。

 

 あきこ先生のレッスンを受けてから、私の中国語は飛躍的に変わりました。楽譜に相当する「音と四声」を正確に読むこと。そして、演奏に相当する「どこをどうすれば正しい発声になるのか」。この二つをしっかりと教えて頂き習得できたからです。

 

 楽譜がきちんと読めて、音階を理解すれば、上手い下手はあれども、誰が弾いてもショパンはショパンとなるわけです。中国語もこれと一緒。耳コピに頼っていた私は、だんだん我流から抜け出せなくなりました。これも音楽のレッスンに似ていますね。

 

 思っていたより短期間でヘンテコな中国語を修正できた理由は、ふたつあります。まず、先生の説明が非常に分かりやすいのです。「舌をふんわり浮かせて」「鼻の下を少し伸ばして」などと指示された通りにやってみます。すると、本当に音通りの発声になるのが不思議。長年のキャリアと知識の集積、先生はプロですから、と分かっていても、体験する方は、「え?なんでこうなるの?」「うまく言えるようになった!どうして?」と聞きたい衝動に駆られるほどです。

 

 ふたつめの理由は、先生が日本人だからです。私は最初に日本語の上手な中国人の先生に習いました。「日本語を話せて、発音はネイティブ!それは理想的」と思うかもしれません。でも、考えてみて下さい。母国語を苦労して覚える人はいないのです。いつの間にか話せるようになった発音を他人に理論的に伝えるのは相当難しいことです。ウムラウトの発音がうまくできないと言った時、中国人の先生は何度も丁寧に発音して下さいました。私はそれをお手本に一生懸命マネましたが習得できませんでした。一方、口の開け方、舌の位置、息の出し方など、あきこ先生は最初から理論的な説明をして下さいます。そのおかげで、私は発音のコツをあっという間に飲み込めました。先生も学習者として初めてウムラウトに出会った日があり、今に至っていることを思えば納得です。

 

 楽譜に忠実な音楽演奏の修行はまだまだ継続中。それでも、一歩一歩正確な音に近づいてきました。いつかここに美しさが加わって、素敵な中国語を奏でたいと思っています。