共生社会の共通言語は何語?

 

 大幅に入国出国の規制緩和がされた今年のゴールデンウィーク。思い切ってマレーシアまで旅行に行きました。「いつでも行ける」が通用しなくなることがあるとコロナの流行から学んだからです。

 

 7時間のフライトで首都のクアラルンプールに到着。

 

 「この間、ラマダン明けの連休が終わったばかりだから」と聞かされ、イスラムの国だったと思う一方、中国語の看板がいっぱいあり、インド系の人々ともすれ違います。ホテルのスタッフも店員さんもタクシーのドライバーさんも、マレー語で話しかけても反応がないと分かると、英語にしてみたり、中国語を話してみたり、人によっては「あ、日本人ですか?私、日本語少し話せますよ」と言って親切に日本語で対応してくださったりします。それがとりわけ特別なことでもないらしい様子。観光客に接している人々だけではなく、日常的に皆さん多言語コミュニケーションだそうです。

 

 マラッカツアーに行くバスが、各ホテルを回って参加者をピックアップしている時、マレーシア人のガイドさんが「次のホテル、今から行くと待ち合わせ時間にちょっと早いです。でも日本人は10分前に来ています。だから行きます。」と普通に言っていました。笑い話でもなく、時間にタイトすぎる人達というニュアンスも込めずにサラッとしているのです。色々なルーツの人が暮らし、文化や宗教が様々。それに対して適切な距離感を取りつつも、きっちり線引きして遠ざける雰囲気が感じられません。たった数日の滞在でも「人それぞれだからね」という温かい共生が伺えました。

 

 植民地時代の英語が公用語から外されて、今の公用語はマレー語ですが、コミュニケーション言語は、その人次第。英語でも中国語でも、相手に通じる言語で自由に話しているようです。

 

 日本には中華系の人達だけでも70万人以上住んでいるそう。とっくに共生社会になっているのに、日本語しか聞こえない日本。マレーシア人のように、相手に合わせて柔軟に言語が使えるのは本当に素敵だなぁと思えます。