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北京原人の眉骨の訳し方

 今、「北京原人」に関する単語を集めてYouTubeの動画を作っています。色々なジャンルの言葉で中国語の発音を練習するのがねらいです。私自身が興味のある分野を選んで単語集めをしています。今回、私はまず、中国国家博物館の解説員の袁硕氏の講演を聴いてみました。

 

 意外なことに、日本で私たちが「北京原人」と呼んでいる彼らのことを中国では「北京人」、もしくは「北京猿人」と呼んでいました。調べてみると、「猿人」と「原人」では、生息していた時期が異なり、できることも違ったようです。「原人」は火を使えるそうです。袁硕氏によると「北京人」もしくは「北京猿人」は火を使えたらしいのですが、この辺を深堀りしていると、いつまでたっても動画が完成しないので、日中の考古学用語の比較はここまでにしておきます。

 

 

 袁硕氏の講演や中国の文献を見てみると、「北京原人」の特徴の一つとして「眉脊粗壮」という表現が使われています。「眉脊」の日本語は「眉骨」。「粗壮」は「太くて丈夫」、「たくましい」、「頑丈」などの意味。一方で、「北京原人」のように眉の骨が立体的な様子を日本語ではよく「隆起している」、「出っ張っている」と表現しています。これらの言葉は形状をよく表しているので、読んだ瞬間に「北京原人」の額から目にかけてのイメージがはっきりと湧いてきます。

 

 中国語を日本語に訳すとき、日本人が聞きなれている表現、聴いた瞬間にはっきりイメージできるような表現を使いたくなることがあります。そんな時は我慢です。原文に含まれていない意味やニュアンスを訳文で採用することはできません。

 

 動画のスライドの日本語訳では、「眉骨が隆起している」と書きたいのをぐっとこらえ、原文に忠実に「眉骨が頑丈」と書きました。動画ができたら、ぜひご覧ください。

 

<参考>

一席「中国国家博物馆讲解员 袁碩 进击的智人」

https://youtu.be/PUhUSIhwyoE

 

トライイット「5分でわかる!猿人と原人」

https://www.try-it.jp/chapters-11062/lessons-11067/